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(情報企画部員参加レポート)

基調講演

「地域とともにある学校づくりの推進 -まちづくりと学校づくりの一体化-」

講師 名城大学大学院教授 大学・学校づくり研究科長 木岡一明氏

 

基調講演写真 開会式に続いて、「地域とともにある学校づくりの推進」をテーマに基調講演が行われました。

 はじめに、学校を襲う危機についての説明がされました。大量退職時代にともない、80年代に校内暴力などの問題に対処していた教員が退職したことや、臨時的、期限付任用者の増加により、教員の指導力が弱体化していると指摘されました。また、知識基盤型社会の進展や、少子高齢化が進んで学校数が減少したことによる縮小社会状況の深刻化が背景にあるとのことでした。

 そして、「地域」とは何か、「地域とともにある」とはどうあることかが説明されました。学校は地域の中にあってこそ、子どもがいてこその学校であって、学校と地域につながりが生まれることが期待される。これを忘れると教育が衰退し、進学を意識するあまりその地域に帰ってこない人材が増えてしまうとのことでした。

 学校が地域とともにあるためには、平素からの関係づくりが必要であると言われました。地域と協働し学校内外の教育環境を整備することにより、子どもたちの全人的な発達が保障され、これが、地域社会に生きて働く力を備えた人の育成となり、地域の再創生につながっていくということでした。政治的決定、経済的決定を超えて、自分たちのことを自分たちで決めていける自己決定の核となる地域協働型の学校でなければならない。地域学校経営の確立はなかなか進まないが、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を拡大し、すべての学校で実効性のある学校関係者評価を実施していかなければならないと説明されました。

 学校事務職員としては、学校経営の総合的なマネジメント力を強化することが必要で、そのためにはおおげさに考えず「一歩前に」「ちょっとだけ」「まずは試しに」始めてみることが重要であるということでした。「意識はなかなか変わらないので行動から変えていきましょう」という言葉が印象に残りました。午後からのシンポジウムにもつながる大変貴重な講演を聞くことができました。