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21世紀にふさわしい学びと学校づくり
― 教育の情報化ビジョンから見える学校事務 ?

海部教育事務所長  玉置 崇

1 経歴

     ・教員として小学校3年、中学校25年(教頭6年、校長3年 含む)経験。その後、
      県教育委員会に異動し5年目。
     ・国際シンポジウムにて「ICTを活用した豊かな教育環境と学校の役割」を発表。
     ・文部科学省「教育の情報化に関する手引き(H20.3)」素案を執筆。
          教育の情報化、校務の情報化をどうするか。
          10年後まで見据えた、教職員のICTの仕事について。
     ・文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」の委員を務める。22年4月から
      1年間の会議を経て、23年4月28日に「教育の情報化ビジョン」を発表。

2 「教育の情報化ビジョン」から学ぶ

    「教育の情報化ビジョン」の内容
     2020年に学校のICTをどうするのか。
      ・情報端末(アイパッド・タブレットPC等)を学校教育で使っていこう。

 (1)「教育の情報化ビジョン」に到るまで
   ?「学校教育の情報化に関する懇談会」までのいきさつ
    ・総務省 原口大臣のビジョン 
       2015年までにデジタル教科書を小中学校の全児童生徒に配備し、全児童生徒が情報端末を 持つ。
    ・21年12月30日閣議決定
      教育現場で情報通信技術をもっと活用していこう。
      光などのブロードバンドの利用をさらに進める。
    ・21年3月IT戦略本部の発表
      21世紀にふさわしい学校づくり
      双方向で分かりやすい授業・教職員負担軽減・児童生徒の情報活用能力向上
   ?「学校教育の情報化に関する懇談会」での主な協議
     ・授業におけるICT活用
     ・ICTを使った校務支援(最も重要と位置づけ)
     ・ICTを使う教員へのサポート体制の整備(教員養成大学での学習も含む)

 (2)具体的な取り組み
   ?行程表
     2011年からデジタル教科書の導入を進める。
     2014年から情報端末の配備を始める。
     2020年までに全ての学校に校務支援システムを導入する。
   ?学習指導要領での情報化に関する記載
     小学校 基本操作を身につける
          情報モラルを学ぶ
     中学校 主体的・積極的活用を行う。創作・プログラムなど。
          基本操作は小学校でマスターしたものとして学習を進める。
   ?ICT活用による効果  
     ICT利用によって授業の理解度が上がっている(客観テストによる実証)

3 21世紀にふさわしい学び

  知識基盤社会の時代…一定の知識を持ち、基本的なことを判断ができ る人間が必要。
  幅広い知識と柔軟な思考力に基づく新しい知や価値を創造する能力が求められる。
                  ↓
  21世紀に求められる力…情報通信技術(ICT)を使っていく力が必要。
              双方向性・柔軟にカスタマイズができること。

4 教育の情報化

(1)情報教育(子どもの情報活用能力の育成)
    小学校  スキル学習(基本操作を学ぶ)…全ての教科で随時実施
    中学校  活用・専門知識を学ぶ…技術家庭分野(必修)と各教科
    高等学校 共通教科として「情報」を必修にする
    ビジョン…小学校で情報科の授業を創設。「情報活用ノート」などを配備。
          (小学校での外国語活動に近い形)
(2)教科指導(学校の授業)における情報通信技術の活用
  ?一斉指導
    授業で先生が活用する。
    指導者用デジタル教科書の活用。
      教科書の内容を含み、音声・動画の再生、文字や画像の拡大ができる。
      電子黒板に映して授業などで利用。見せる授業。
      黒板に書く時間や拡大したものを準備する手間を省くことができる。
  ?個別学習
    生徒が自分で学ぶ。
    学習者用デジタル教科書(現時点では未開発)の活用。
      教科書をデータで配布し、情報端末を持ち歩く。
     情報端末を使った授業
      画面に書き込み・画面を電子黒板に映して発表
      校外学習でノート代わりに記入・発表。
      写真や動画を撮って、プレゼンテーション。
  ?協働学習
     複数の人とやりとりを行う
  ?ICT導入の現状
     教師による活用が主。
     ・実物投影機
       教師が道具を使っているところを大きく見せることで分かりやすい授業ができる。
       音楽の鍵盤ハーモニカ、国語の作文指導、算数の分度器、理科の実験器具等。
     ・フラッシュ教材
       繰り返し学習に適している。(国語、算数、社会など)

 (3)校務の情報化(教職員によるICT活用)
   2020年のビジョン
     職員室内…校内高速無線LAN、ペーパーレス、電子掲示板(予定表集約)、
     校内カメラ(保安)、情報一元化、情報端末、データベースなど。
   校務支援システムを全ての学校に導入。

     ?グループウェア(データベースの集中管理)
       校務管理…予定表、連絡管理など。
            連絡掲示板・予定表・出張管理・文書の受発信の一括管理。
            旅行命令書・学校日誌などへの転記が省ける。
            校務に割く時間の節約→その時間を他の仕事に回せる。
       業務管理…各種帳簿、徴収金、保健管理など。
       児童生徒情報管理…名簿、成績、学籍など。

     ?校務支援システムによる校務の負担軽減ビジョン
       ・住民基本台帳、学齢簿、児童生徒データベースの一元化。(市・学校)
       ・学校徴収金手続きの一元化。(学校・金融機関)
       ・備品購入から廃棄までの手続きの一元化。(市・学校・業者)
     ?「いいとこ見つけ」
        日常、児童の良いところをデータベースに入力し、通知表とともに保護者に知らせる。
       担任だけでなく、学校全体で子どもを見守る。

5 「愛知における学校事務のグランドデザイン」から学ぶ

 (1)学校事務の使命
      学校環境の整備。地域に開かれた学校の実現。

 (2)5つの基幹的マネジメント
  ?組織マネジメント
    学校評価の収集・分析
      評価することが目的ではなく、分析が重要。
      集約にかける労力をいかに少なくするか。
       →ICT活用
        携帯で回答し、即座に収集結果が出るようなプログラムを使うなど。
  ?情報マネジメント
     学校ホームページの活用
     CMSを使って簡単に更新可能→内容の精査に時間を割く。
  ?財務マネジメント
     情報の見える化。
     予算の使用率、目標の達成率のビジュアル化で理解しやすく。
  ?カリキュラムマネジメント
  ?地域連携マネジメント
     ホームページ・学校ナビなどを作って、学校の思いを発信する。

 (3)学校事務の高度化
   ICT活用で実現できるものもある。
    ICTによる効率化・効果。学校事務の立場からの提案を。