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令和2年度 事業計画

 中央教育審議会は平成31年1月「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」答申を取りまとめました。その中で、「学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになること」と述べています。そして、学校事務職員に関しては「目指すべき学校の組織運営体制の在り方」として「学校における働き方改革の推進に当たっては、事務職員の校務運営への参画を一層拡大することが必要」であり、「学校に配属される事務職員の人材の確保と採用後の職能成長について、任命権者である各教育委員会がしっかりと見通しと戦略をもって、望ましい採用やキャリアパスの在り方を検討することが求められる」と述べています。

 こうした提言も踏まえ、平成31年4月には中央教育審議会に「新しい時代の初等中等教育の在り方について」諮問がされ、新時代に対応した義務教育および高等学校教育の在り方や増加する外国人児童生徒等への教育の在り方、これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備等について審議が行われています。その中では、「チーム学校の実現等に向けた教職員や専門的人材の配置、教師を支援し教育の質を高めるICT環境や先端技術の活用を含む条件整備の在り方」などの事項について検討を依頼しているとともに、これらの課題は広範多岐にわたることから、審議の状況に応じ、区切りがついた事項から逐次答申していただくことも検討していくことになっています。

 そして、これからの時代を生きる子どもたちは、ますます変化に富んだ社会環境の中で、未来を歩んでいくことになります。学校現場においては、小学校では今年度から、中学校では来年度から新学習指導要領が全面実施になります。新学習指導要領の理念である「子どもたちが、複雑で予測困難な時代を前向きに受け止め、社会や人生をより豊かなものにすることができるようになる」こと、そのための「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を学校と社会が共有する『社会に開かれた教育課程』」の具現化を目指して、平成29年に学校教育関連法が改正されました。学校事務職員が「事務をつかさどる」立場に規定されたこと、そして「共同学校事務室」が法律上に明記されたことは、学校の指導・運営体制を充実し、地域との連携・協働を含めた学校運営の改善を図ることにより、複雑化・困難化する諸課題に対応する学校の機能強化を推進することを目的としています。

 このような流れの中で、愛知県下でも学校管理規則等における職務規定の見直しや、共同学校事務室の整備などが進みつつあります。また、「あいちの教育ビジョン2020」の中では学校事務の共同実施の一層の推進が必要であると明記されています。さらに、「教員の多忙化解消プロジェクト」の中でも、学校事務職員の役割の見直しと共同実施体制の強化などが提言されています。

 私たちは、こうした学校教育に関わる動きを踏まえ、平成29年、県事研発足60周年の年に策定した愛知における学校事務のグランドデザイン「第2期あい・学校スマイルプラン」のミッションである「教職員や地域の人々とともに子どもたちの笑顔あふれる学校づくりを進める」を目指し、引き続き取り組みを進めます。そのために、スマイルプランで掲げた「チームとしての学校づくり」、「地域とともにある学校づくり」、「学校づくりを推進する共同実施」の3つの重点目標の実現を目指し、「組織」「人」「地域」を柱に、「学校組織運営(マネジメント)」「事務職員制度」「キャリア・研修制度」「地域連携・協働」「包括的情報戦略」の5つの戦略について、実行可能なアプローチを考え、具体的な展開・推進を図っていきます。

 そして、学校運営の改善、学校の機能強化の推進を、学校にとって、子どもたちにとって、社会にとって、有効なものにしていくために、私たちそれぞれが、学校内外におけるマネジメント全体の視点から効果的・効率的な学校事務の在り方を見直し、それをつかさどることができる「企画・提案型の事務職員」として主体的にその役割を果たしていくことを目指し、研究を進めていきます。

 また、校長のリーダーシップを支えていくため、教頭との役割分担・連携協働のもとに、これからの学校づくりを担う新たな職務内容の具現化に向けて、「共同学校事務室」での職務内容と併せて整理し、職位に応じた役割分担をもとにした、新たな学校事務の在り方を追求していきます。そして、それを担うことができる人財の育成に向けて、体制の構築を目指します。

 戦略的な情報収集と提供・活用の手段としては、ナレッジサイトの一層の充実を図り、その有効な活用方法を引き続き検討するとともに、戦略的に活用できる情報の在り方について検討を進めます。

 平成28年度の学校づくり支援検討委員会の答申を受けて組織再構築を進め、昨年度から1局3部体制で事業展開を進めています。「働き方改革」を意識しながら、事務局を中心とした部局間の連携・協働を一層強化し、県事研と支部・市町村組織・会員との役割分担を進めます。また、県事研活動及び事業の在り方について考え、学校経営を支援していく観点はもとより、次の世代につなぐことができる持続可能な県事研活動の展開を図ります。

 そして、

・研究会組織として、教育行政に係る研究をし、シンクタンクの役割を担う

・支部間の情報共有や会員相互の交流を進め、「愛知は一つ」として会員をまとめる

・関係諸機関・諸団体(県教委・校長会等)との連携・協働を図り円滑な関係を築く

県事研組織としてのこれらの役割を念頭に置きながら、「最小限の活動で教育現場に最大限の効果を生み出す」といった視点も踏まえ、愛知の学校事務の抱える課題解決に向けて、引き続き「新たな職の開拓」とその実現に必要な「人財育成」を中心課題におき、特に下記の3点を重点に研究会事業を推進していきます。

 

1 校務運営参画のための研究

 平成30年1月に、県教委から「学校事務職員の校務運営への参画について」の通知文が出されました。このことは学校事務職員への期待の表れでもあります。新学習指導要領にある「社会に開かれた教育課程」を実現し、子どもたちの「生きる力」を育むためには、「チーム学校」の一員として学校事務職員の立場からの積極的な校務運営参画が必要です。

 現在、研究開発部を中心に、カリキュラム・マネジメントを通じた校務運営参画について研究を進めています。今年度8月に開催される全事研岐阜大会において、「校務運営改善を柱としたカリキュラム・マネジメントと事務職員の関わり」について発表をし、学校事務職員がカリキュラム・マネジメントに関わる方策について共に考える機会とします。

 また、校務運営参画のためには、各学校の事務職員の経験の差という課題があります。この課題を解決するためには、共同学校事務室の機能を生かし、組織での校務運営参画を行っていくことが必要です。そのために平成30年度県事研が提案した「新たな学校事務の展開と事務職員の役割・共同実施組織の機能」をもとに、さらなる研究を進めます。

 

2 人材育成の具現化

 昨年度は、組織改編後の新制県大会となり、大会の企画運営が研修企画部に移されました。今年度の県大会は2つの支部の発表を全体会方式で行います。大会を通して学校事務が抱える課題を全ての関係者と共に考え、解決する場面として位置付け、今後の愛知の学校事務の在り方を方向づけていきます。また、県大会は学校事務職員にとって大切な人財育成の機会でもあります。県大会を全県規模の研修の一つと捉え、長期的な展望に立ち、引き続き検討と改善を進めていきます。そして、各支部・市町村での新たな職務内容や人財育成の具現化に向けての課題を整理し、県・支部・市町村・共同実施組織・会員との役割分担・連携方策を考えます。

 また、平成29年度県事研が提案した総合的な人財育成体制「研修トータルプラン」に基づき、関係する諸機関とともに、制度研修をはじめとした人財育成の在り方を考え、学校事務職員の資質向上を目指し、具体的なプランとなるよう実行していきます。特に、県教委を始め関係諸機関・諸団体に引き続き働きかけ、「学校事務職員の研修体系」の再構築と実現に向けて検討を進めます。併せて、愛知県総合教育センターとの連携・協働機能を強化し、職位に応じた研修の企画運営を進めていきます。そして、県全体の規模の研修と地域に応じた研修、自主研修等について、県事研と各支部、市町村、共同実施組織等でのそれぞれの在り方について議論を深めていきます。

 さらに、県事研と各支部の連携を深め、「愛知は一つ」としてまとめていくために、情報共有、会員交流を進めていきます。

 

3 関係諸機関・諸団体との更なる協働機能の強化

 学校教育法を始めとする学校事務職員に関わる様々な法改正や、それを受けての県教委からの通知内容の具現化を図ります。特に学校事務職員の職務の見直し、校務運営への参画、共同学校事務室の市町村での具体的な展開における法的・人的・財政的環境整備について、県教委や県校長会、市町村教育委員会等、教育関係諸機関・諸団体等に働きかけていきます。併せて、学校事務の改善に向け、それぞれの立場を踏まえた課題を解決していく場面の構築に向けて働きかけていきます。

 学校事務情報交換会では、情報交換や研修を通して、愛知の学校事務が抱える課題の共有を図り、教育関係諸機関・諸団体とともに考えます。

 

 法改正から4年目を迎え、県事研組織改編後の2年目の年でもあります。研究会の役割がますます重要になっていく中、さらに成果が求められる1年であると考えています。県事研という組織を通じて、みんなで知恵を寄せ合い、議論を深め、実践し、結果に結び付けていく必要があります。

学校における働き方改革、チームとしての学校、地域とともにある学校づくりを進めなければならないこの変革期をチャンスと捉え、学校内外全体を見渡せる強みを生かして学校事務職員一人一人が各学校現場で欠かせない戦力として力を発揮していける、まさに「事務をつかさどる」者となるよう、県事研として支援できる体制を構築していきます。そしてそのために、県事研は総体として「学習する組織(目的に向けて効果的に行動するために集団としての「意識」と「能力」を継続的に高め、伸ばし続ける組織)」でありたいと思いますし、イノベーション(革新・新機軸)を生み出す組織として、自ら考え行動する「考える組織(疑問、興味、責任感、創造的な問題解決、主体性を呼び起こし、奨励する組織)」でありたいと思います。