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第3分科会(愛日支部)

『提案型事務職員を目指すために』

  若手事務職員が直面している急激な世代交代に伴う仕事の継承機会の減少と、経験不足により困難が予想される教職員評価制度での目標達成を踏まえて、実 際に取り組んだ実践例の紹介について発表がありました。

前半では、今回の研究についての経過説明と実践報告があり、後半に実践の検証と検証結果についてのグループワークが行われました。

 まず、研究者が内容を考える「問題解決型」の研究ではなく、現場で働く事務職員が実践した「課題達成型」での発表 を重視したことについて説明がありました。また、発表のテーマを「提案型事務職員」とし、事務職員が自ら課題を設定して実践を行う様子を取材して、成功・ 失敗に関わらず取り組みのすべてを収集して発表することが事務職員の成長にとって有効な手段であるとされました。

 実践報告では、選出された事務長・主査・主任・主事の4名が、平成21年11月から平成22年3月末までの期間に勤務校 で取り組んだ、事務部経営案の作成から提案・実践・結果にわたる一連の内容が、紙芝居の映像を用いて紹介されました。事務長は備品配置の環境整備・校内LAN の設定を、主査は施設修繕・備品活用・未納対策を、主任は文書管理整理・導入備品整備を、主事は教員の事務軽減・予算活用についての実践報告を行い、いずれも各学校の実情が反映されたものとなっていました。

 検証では、職名により、目標を達成する過程で他の職員との関 わり方に違いがあるとされました。主事は個人の範囲で仕事をして他の職員との関わりがなく、主任は他の職員に協力を求めているが衝突が多い。主査は他の職 員との協力を上手く取り付けていて、事務長は自分なりの仕事を確立して他の職員に協力していると分析されていました。この他者との関わり方の違いは経年変化 することから、早期に取り組むことが仕事を確立することに近づくとされました。さらに、コミュニケーション能力などの「経験知」(職人の技)の継承には時間が必 要であるため、マニュアル化された「形式知」(客観的データ)への変換が必要との提案がありました。

 検証の結果を討議のテーマとしたグループワークでは、参加者同士が自分のこととしてとらえた意見交換ができ、検証結果を共有す ることができました。最後に「提案型事務職員」とはどういうものかを、それぞれが感じてもらうことが主題であり、「経験知」の継承が困難ならば、自分で意 識し努力することが大事であるとまとめられました。

 この分科会に参加して感じたことは、実践内容の紹介に主題が置かれていたため、課題の設定から目標の達成に至るまでの過 程が理解しやすかったことです。そして、自分の仕事への取り組み方を再確認できる良い機会となるとともに、早速取り組もうという気持ちになりました。